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最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)630号 判決 1968年2月15日

上告人

栗田光雄

右訴訟代理人

後藤英橘

池田惟一

被上告人

山下福吉

右訴訟代理人

榊純則

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人後藤英橘の上告理由第一点について。

訴訟が訴訟上の和解によつて終了した場合においては、その後その和解の内容たる私法上の契約が債務不履行のため解除されるに至つたとしても、そのことによつては、単にその契約に基づく私法上の権利関係が消滅するのみであつて、和解によつて一旦終了した訴訟が復活するものではないと解するのが相当である。従つて右と異なる見解に立つて、本件の訴提起が二重起訴に該当するとの所論は採用し得ない。

同第二点ないし第五点について。

所論は違憲を主張する点もあるが、その実質は原判決の単なる法令違反の主張に過ぎず、原審の認定判断はすべて、原判決(その引用する第一審判決を含む。)挙示の証拠関係に照らし是認することができ、所論引用の判例はいずれも事案を異にし、本件に適切でない。また、原審の認定した事実関係のもとにおいては、被上告人の本訴請求が公序良俗に反するものとも認められない。原判決には何ら所論の違法はなく、所論は、原審の認定しない事実を主張して原判決を非難しまたは独自の見解に基づいて原審の判断を非難するもので採るを得ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(岩田 誠 入江俊郎 長部謹吾 松田二郎 大隅健一郎)

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